MCAより

ごあいさつ

この度、私ども 特定非営利活動法人 MCAサポートセンター ( 以下「MCA」) は、
2025年3月31日をもちまして、コミュニティセンター進修館の指定管理事業から撤退いたしました。

10年の長きに亘り進修館の運営に関われたことは、私どもにとってとても有意義なことでした。

しかしながら、宮代町との指定管理契約期間を1年残しての撤退となったことは、なんとも口惜しい限りです。

まずは、このような決定となったことで、多方面にわたりご迷惑をおかけすることになりましたことをお詫びいたします。

また、当方からご挨拶が大幅に遅れ、またごあいさつに伺うことも出来ておらず、
この文面を以ってのお知らせになってしまっている方もおられる状況となっております。

様々なご無礼につき、重ねてお詫び申し上げます。

この10年、多くの方々にご支援いただきましたこと、温かいお声をいただきましたこと、心より感謝いたしております。

誠にありがとうございました。

「宮代町そのもの」が建築となった進修館

みなさまもご存じの通り、進修館は宮代町におけるコミュニティの中心となる施設として、1980年に開館しました。

当時の宮代町長・齋藤甲馬氏は象設計集団に設計を依頼するにあたり、
「世界のどこもないもの」「子どもたちが成長したとき誇りをもって言える」「みんなが気軽に集まれる」
施設として作ってほしい、と希望したそうです。

その思いを受け、象設計集団の建築家たちは、
宮代町の地勢、歴史、生活、地域で行われている活動の様子などを調べ、
それを建物の意匠に取り入れました。

言うなれば、進修館は宮代町を表現した建築です。

「進修館は宮代町のシンボル建築だ」という言葉をよく耳にしますが、
それは「有名な建築家集団が手掛けたユニークな建築」だけでなく、
「宮代町そのものが表現されている建築」だからだといえます。

宮代町におけるコミュニティの中心となるように

MCAが進修館の指定管理者となったのと時を同じくして、
進修館に事務局をおいていた宮代町コミュニティ協議会 ( 以下「コミ協」) が解散しました。

町内各所にある個々のコミュニティをつなげる役割を持つコミ協事務局が進修館にあったことは、
この建物に与えられた役割から、とても重要な意味を持っていたと考えています。

コミ協という、地域コミュニティの横断的つながりの仕組みが進修館からなくなった状態から、
いかに関係構築をして進修館をコミュニティの中心施設と位置付けるかということが、
私どもMCAが指定管理事業を通じて考えてきたことでした。

とはいえ、一施設の管理運営を通じてこの問いに答えを出すことは至難の業です。

しかしながら、他でもない進修館だからこそ、
地域を支え支えられる場になるべきとの思いで、様々な事業に取り組んできました。

沖縄県今帰仁村との交流

そうした中、沖縄県今帰仁村のみなさまとのつながりが生まれました。

今帰仁村は、同じく象設計集団が手掛けた中央公民館を有しており、
この中央公民館を地域コミュニティの中心として再評価し活用しよう、という動きがあります。

また施設管理においては、コンクリート建築の維持管理の難しさを実感する者同士。

様々な共通点から意気投合し、交流が深まりました。

何より感じたのは、象設計集団の建築理念である「自力建設」の考え方を大切にしているということでした。

「自力建設」とは、単に具体的な建設を指すのではなく、自らの地域を、自らの手でつくり上げてゆく哲学です。

理想を掲げつつ、地域とともに考え進めていこうとする今帰仁村のみなさんの姿勢には、
ことあるごとに刺激を受けました。

そしてこの交流が、今帰仁村の舞踊集団を進修館に招聘して
2024年11月に開催した「なきじんまつり in 進修館」につながりました。

開催に当たっては、宮代町の地域コミュニティとの連携も取り入れたく、
8町会連合会での民泊受け入れや、宮代町民俗舞踊連盟の協力による町民参加の「宮代音頭」演舞など、
多くの方々のご協力により、初めての文化交流事業を実施することができました。

指定管理事業撤退へ

MCAが当初掲げていた問いへの答えが、少しずつ形になりはじめた2024年度でしたが、
大ホールが長らくコロナワクチン接種会場であったことによる顧客流出や、
電気料金をはじめとする物価高騰などの影響は著しく、
運営には公金の追加予算が必要な状況になりました。

また進修館は元々、宮代町役場の別館として建てられたというルーツもあり、
公用利用 ( 役場事業による無料の施設利用 ) も多く、
指定管理者としての収益事業の計画が立てにくいという特性も重なり、
私どもの法人から資金を捻出しつつの運営となっていました。

このような状況の下、2025年度の事業継続を検討するに当たり、
予算に関して町との協議をしたものの交渉は難航し、このまま指定管理事業を継続した場合、
当法人に多大な損失が生じると判断し、撤退を決断するに至りました。

これからのMCAサポートセンター

MCAは2025年11月で設立15周年を迎えます。

宮代町の公共事業や公共施設運営の団体という色が濃いこれまででしたが、
進修館指定管理事業撤退を機に、改めて足元を固める覚悟でおります。

MCA設立当初からの変わらぬ思いは、誰もが自らが持つ力を発揮することができ、
ありのままであることが尊重されることによって幸せな個人となり、
そうした個人が増え、つながってていくことで豊かな社会が実現するための事業を展開する、ということです。

こうした思いをさらに後押ししてくれたのが、進修館の設計理念であり、「自力建設」という考え方でした。

この節目の年に新たな一歩を踏み出せることを幸いと思い、
基盤整備と事業の再構築に励んでいるところでございます。

2025年度の総会では、その詳細をお伝えできるよう、準備を進めてまいります。

今後とも、私どもMCAサポートセンターへのご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

2025年5月1日

特定非営利活動法人 MCAサポートセンター 代表理事 渡邉朋子